「実は広いんです」
区切りと立体感で、空間を再生するシンプル和風の庭
車で埋まった庭に、可能性を見出す。
千代田町Y様邸。最初の印象は「車を置くといっぱいいっぱい」。お客様ご自身も「ウチは狭いので...」と仰っていました。
しかし、プロの目で見れば、それは「使い方が整理されていないだけ」の広い空間。
駐車スペースの勾配問題、浄化槽の制約、そして高低差。これらを御影石の見切りと石組みで整理することで、「駐車スペース5台分」と「味わい深い和の庭」の両立を目指しました。
車があるだけで狭く感じてしまう現状。
図面と現場のすり合わせ。ここから空間を読み解く。
1. 難所:浄化槽と勾配のせめぎ合い
最大の課題は、駐車スペースにある浄化槽の嵩上げ。これに高さを合わせると、勾配が急になりすぎて車の出し入れが困難になります。撤去して下げる案も検討しましたが、コストと作業量を考慮し、現状で可能な限り緩やかなラインを導き出す「最適解」を選択しました。
奥に見える浄化槽。この高さが勾配の基準になってしまう。
「使いやすさ」のギリギリを攻める調整。
我慢できる範囲まで勾配を緩和。これがプロの判断。
2. 同時進行の妙:駐車と庭を並行して作る
外構工事は段取りが命。駐車スペースだけ、庭だけ、と分けて考えると後で手詰まりになります。勾配を調整しながら、庭の土留めとなる石組みも同時に進め、全体像を固めていきます。
駐車スペースと並行して、庭の骨格を作り始める。
石の顔を見ながら配置を決める。
高低差を石で解消。これが立体感を生む。
石と緑で土留めを兼ねる。
3. 輪郭を決める:御影石の縁石と下地作り
和風の家に負けないよう、道路境界は「御影石の縁石」でビシッと見切ります。そして、アプローチ兼駐車スペースとなる部分には、大判の御影石を敷設するため、コンクリートで強固な下地を作ります。
境界を確定させる重要な工程。
直線が通ると、敷地全体が引き締まる。
車が乗っても沈まないよう、下地は念入りに。
見えなくなる部分こそ、最強の強度を。
4. 御影石の贅沢:歩いてわかる本物の質感
アプローチには大判の御影石を敷き詰めました。見た目の豪華さはもちろんですが、歩いた時の「コツコツ」という硬質な感触は、毎日の出勤・帰宅を少し贅沢なものにしてくれます。
頑丈かつ美しい、最強のアプローチ。
靴越しに伝わる上質な歩き心地。
細部の納まりも美しく。
5. 植栽の妙:砂質の土を改良し、緑を差す
既存の土が砂っぽかったため、赤土を混ぜて土壌改良を行いながら植栽。管理の手間を考え、枝が暴れにくい「落葉樹」を中心に構成しました。春になれば自然な目隠しとなり、季節感も演出します。
木が入ると、空間に命が宿る。
根が張るよう、土をブレンド。
目隠しと景観のバランスを調整。
足元のグリーンが全体をまとめる。
サツキもビシッと刈り込み、和の趣を強調。
6. 和のワンポイント:石臼とタマリュウ
庭のフォーカルポイントとして「石臼」を配置。周りにタマリュウを植え、砂利で化粧を施しました。シンプルな構成の中に一点の「見せ場」を作ることで、庭全体の品格が上がります。
小さな空間こそ、丁寧に仕上げる。
門柱も美しくリフレッシュ。
タマリュウの緑と砂利の白。コントラストが美しい。
最後の仕上げ、土間コンクリート。
完 成:区切りが生む「広さ」と「機能美」
車5台分のスペースを確保しながら、美しい和の庭も実現。
「ウチって結構広かったんですね!」
お客様の驚きの声が、この工事の成功を物語っています。
着工前の狭さが嘘のよう。広々とした機能的な外構へ。
勾配も無理のない範囲で美しく納まった。
燻し銀の瓦と白の鉄平石。和風建築との相性は抜群。
枝モノを避け、優しい落葉樹で構成。
春には新緑が目隠しとなり、さらに良い雰囲気に。
駐車スペースで下がった分、庭が独立した空間として際立つ。
シンプルながらも味わい深い、大人の庭。
春にはここに花を浮かべて。
砂利の色を変えることで、視覚的な変化を楽しむ。
ここを歩くたび、少し贅沢な気持ちになれる。
Y様、限られた条件の中で最大限の「広さ」と「機能」を引き出せたと思います。
これからは、この広くなったお庭と駐車スペースを存分に活用してください。
本当にありがとうございました!
