「造り込まない」という挑戦。
施主様が育てるための、強靭で優しい土台づくり
更地のような「空白」をデザインする。
足利市K様邸。今回のテーマは「造り込まない優しい庭」。
お客様のご要望は、ご自身で植物を育て、庭を完成させていくこと。だからこそ、私たちがすべきことは、装飾で埋め尽くすことではなく、**「最高の下地」**と**「骨格となる動線」**を完璧に整えることでした。
しかし、現場の土はスコップも入らないほどの硬さ。見えない地中での戦いと、仕上げの柔らかさ。プロとしての仕事を「土台」に集約させた記録です。
更地に見えるが、実は難敵。ここからクリエイターの血が騒ぐ。
スコップの刃が立たない。残土で埋め尽くされた過酷な状況。
1. 土との格闘:機械も悲鳴を上げる硬度
まずは土壌改良から。しかし、ユンボのバケットですら歯が立たないほどの硬さ。残土が踏み固められ、岩盤のようになっていました。 急遽、アタッチメントを「ツメ(リッパー)」に換装し、バリバリと掘削。この「不良土」を全て排出し、植物が根を張れる「良質な赤土」へと総入れ替えを行いました。
通常のバケットでは弾かれてしまう。
まさに鉄壁。これでは草花も育たない。
この硬い層を残せば、将来お客様が苦労する。だから徹底的に取り除く。それがプロの仕事です。
ツメで岩盤のような土を砕いていく。
ふかふかの赤土へ。これで庭の命が吹き込まれる。
2. 控えめな骨格:富士の黒ボク石
花壇や畑のスペースは、お客様が自由に使えるよう、あえて造り込みません。 使用したのは「富士の黒ボク石」。ゴツゴツとした自然な風合いで、主張しすぎず、植物の緑を引き立てる「名脇役」として配置しました。
あえてランダムに。作りすぎない美学。
3. シンボルの継承:モミジの移植
庭の主役となるモミジは、去年の秋から準備していたとっておきの一本。自然木ならではの柔らかな樹形が、庭全体の雰囲気を優しく決定づけます。 根の状態も良好。丁寧に掘り取り、新しい場所へと移植しました。
運搬のために枝を優しくまとめる。
しっかりとした根。これなら元気に育つ。
いざ、新しい舞台へ。
一本入るだけで、景色が一変する。
4. 機能性の確保:防草と防犯
雑草対策として、最強の防草シート「ザバーン」を敷設。その上には、歩くと音が鳴る川砂利を敷き詰めました。 メンテナンスの手間を減らしつつ、防犯効果も高める実用的な構成です。
清潔感と機能性を両立。
ここからはお客様の出番です。
「今度の土はサクサク掘れますよ!」
5. こだわりの土間:ダブルアールと洗い出し
アプローチを兼ねた土間コンクリートは、ただのコンクリートではありません。 表面は骨材を見せる「洗い出し仕上げ」でナチュラルな風合いに。 そして、形状はすべて「アール(曲線)」を描き、さらに角の仕上げにもこだわりました。
通常は角を斜めに落とす「面取り」ですが、今回は普通のコテを使って角自体を丸く仕上げる「ダブルアール」施工。このひと手間が、視覚的な柔らかさを生みます。
アールの型枠に合わせて打設。
金鏝仕上げにはない、温かみのある表情。
優しい曲線が庭を包む。
この丸みが「優しさ」の正体。
6. 背景をつくる:アマゾンジャラのフェンス
目隠しと風よけを兼ねたウッドフェンスには、ウリンと同等の耐久性を誇る「アマゾンジャラ」を採用。 ハードウッドの赤褐色が、庭の緑を引き立てる最高の背景となります。
ウリンに劣らぬ最強木材。
プライバシーを守りつつ、圧迫感を抑える。
7. 仕上げ:植栽でつながる世界
フェンスだけでは浮いてしまう空間も、植栽が入ることで一変します。 モミジ、ジンチョウゲ、ツツジ、シャクナゲ、アジサイ。四季折々の花と緑が、建物と外構を繋ぎ合わせ、一つの景色として完成させます。
まだ少し「人工物」の硬さがある。
緑が入ると、フェンスが庭の一部になる。
洗い出し土間、フェンス、植栽のハーモニー。
ふんわりとした優しさが出た。
完 成:これから育つ、優しい庭
「想像以上のお庭ができた」
お客様から頂いたその言葉が、私たちの誇りです。
造り込みすぎず、余白を残したこの庭は、これからお客様の手でさらに美しく育っていくことでしょう。
毎日歩くのが楽しくなる道。
四季の変化を告げる庭の主役。
ジンチョウゲやシャクナゲ。香りと彩りを楽しむ。
可憐な花が、春の訪れを知らせる。
あっさりと、しかし品良く。
K様、この度は「造り込まない庭」という素敵なテーマをいただき
本当にありがとうございました。
これからは、このしっかりとした土台の上で、
ご自身の手で理想の庭を育て上げていってください!
