京都の禅寺を想う、静寂の石庭。
希少な鞍馬石と鳥海石が織りなす「四季の絵画」
高低差を活かし、心安らぐ風景を創る。
高崎市Y様邸。京都に縁のあるご夫婦からのご要望は、「禅寺を想起させるような、心癒される石庭」。
建物が高い位置にあるという敷地条件を逆手に取り、見上げるような迫力と、奥へと続く奥行き感を創出。地窓からの眺め、縁側からの景色、それぞれを「一枚の絵」として成立させるよう、石の一つ、木の一本まで計算し尽くしました。
四季の住まいで建てられた重厚な和風建築。
GLより20cm高い建物。この高低差を「見どころ」に変える。
窓は額縁。ここから見える景色を逆算して庭を作る。
玄関の地窓。低く切り取られた景色こそ、和の真髄。
1. 土台づくり:雨でもぬからない現場管理
まずは砕石による養生から。雨の日でも作業が止まらないよう、足元を固めるのは基本中の基本。そして良質な黒土を大量に搬入し、植栽のための豊かな土台を作り上げます。
現場を綺麗に保つことが、良い仕事への第一歩。
井田建材さんの協力でスムーズな搬入。
高低差を活かすための土台作り。
植物が喜ぶ、ふかふかの黒土。
後から入れなくなる場所は、最初に施工を済ませる。
見えない部分も分厚く、頑丈に。
2. 六方石の挑戦:表情のない石に「顔」を与える
石庭の主役の一つ、六方石。市場で見つけた巨大な石を、バランスを見ながら据え付けます。表情が均一な六方石だけで庭を構成するのは至難の業ですが、高さや角度を微妙に変えることで、一つ一つの「島」に個性を与えました。
市場で一目惚れした逸品。
重たい石も、知恵と重機で軽やかに。
カットせず、そのままの長さで深く埋め込む。
ミリ単位の調整が、全体の調和を生む。
狙い通り。静寂の中に動きのある石組み。
3. 鳥海石の迫力:高低差を繋ぐ石組み
もう一つの主役、鳥海石。高低差のある法面を、土留めを兼ねた石組みで彩ります。真夏の炎天下、気温40度の中での過酷な作業でしたが、石と対話しながら一つひとつ丁寧に組み上げました。
自然の荒々しさをそのままに。
高低差に挑む。
40度の熱気の中でも、集中力は切らさない。
内側もしっかりと土を詰め、強度を確保。
緑が入ると、石の表情が和らぐ。
4. 真夏の植栽:鉄平石と大樹の競演
アプローチには特大の鉄平石を使用。同時に、真夏でも葉を落とさないよう養生した植木を一気に植え込みます。到着したら即座に植え付け、たっぷりと水をやる。時間との勝負です。
隠し持っていた秘蔵の鉄平石。ここで使うしかない。
真夏の移動でもダメージゼロを目指す。
水は命。たっぷりと与える。
歩き心地を確かめながら、慎重に据える。
曲線美。石に沿うように形を整える。
重厚かつ歩きやすい、最高のアプローチ。
5. 運命の出会い:本鞍馬石の飛び石
坪庭に予定していた鉄平石を急遽変更。その理由は、奇跡的に手に入った「本鞍馬石」の飛び石。京都の庭には欠かせない、現在では採掘禁止の希少石です。濡れた時の錆色の美しさは、言葉を失うほど。
マニア垂涎の逸品。即決で購入。
この庭のためにあったかのような存在感。
濡れると本領発揮。深い味わいが出る。
鉄平石で囲われた水鉢へ続く道。
6. 仕上げの美学:砂利、瓦、そして石庭の完成
仕上げは防草シートの上に砂利敷き。雨落ちには那智黒石を瓦で囲み、雨の日も楽しめるように。石庭部分は、苔の代わりにタマリュウを使い、メンテナンス性と美観を両立させました。
白川砂利が光を反射し、庭を明るくする。
足元にも「和」の心遣い。
空間を仕切り、奥行きを演出する御簾垣。
高低差を繋ぐ階段も、御影石でビシッと。
主張しすぎないサンシルバー色を選択。
山田左官の技が光る。
完 成:静寂と四季が同居する庭
門扉をくぐれば、そこは別世界。
重厚な石と柔らかな緑、そして水音が織りなす「禅」の空間。
窓から切り取られる景色は、日々の暮らしに彩りと安らぎを与えてくれます。
重厚でありながら、どこか優しい佇まい。
黒で統一した金物と御影石のコントラスト。
玄関を入った瞬間、この景色が出迎える。
低く切り取られた景色が、心を落ち着かせる。
障子を開ければ、そこには一枚の絵画。
四季折々の変化を、縁側で楽しむ。
表情の違う「島」が浮かぶ、枯山水の世界。
五感で感じる涼。
雨の日こそ美しい、黒光りする鉄平石。
石に寄り添う植物の生命力。
Y様、長期間にわたり大変お世話になりました。
毎日の冷たい飲み物、スタッフ一同心より感謝しております。
これからは、この庭で四季の移ろいを存分にお楽しみください!
