建物に負けない「本物の庭」を。
赤城の巨木と鳥海の巨石が織りなす風景
広大な敷地、巨大な建物。これに釣り合う庭とは?
館林市のH様邸。眼の前に広がるのは、広大な敷地と凝った造りの重厚な建物。「どんなに良い家を建てても、庭が貧弱ではすべてが台無しになる」。そんな危機感すら覚えるほどのスケールです。
この圧倒的な存在感に対抗し、調和するには、並大抵の庭では太刀打ちできません。必要なのは「本物」の素材と、それを御する職人の「魂」。赤城山から運んだ巨木、鳥海山から運んだ巨石。持てる全ての情熱を注ぎ込んだ、渾身の庭づくりが幕を開けます。
1. 土壌改革:命を育む大地を一から創る
工事の第一歩は「破壊」と「再生」です。現状の地盤は砕石混じりで、とても植物が育つ環境ではありませんでした。通常の1.5倍もの残土を排出するという荒療治を敢行。ダンプが何度も往復し、不毛な土を運び出します。
排出された土の代わりに運び込まれたのは、選び抜かれた良質の「赤土」。植物の命を支えるのは、デザインではなく土壌です。この目に見えない基礎こそが、10年後、20年後の庭の姿を決めるのです。
重機が入らない建物の裏手は、スタッフ総出の手掘り作業。汗と泥にまみれながら、庭の隅々まで血管を通すように土壌を整えていきます。
2. 巨木降臨:赤城山の主(ヌシ)を据える
この庭の「核」となるシンボルツリー。選んだのは赤城山麓で育った巨大なモミジです。4トントラックの荷台からはみ出すほどの巨体。これほどの木を動かすのは、まさに一大プロジェクトです。
クレーンで吊り上げられたモミジが宙を舞い、所定の位置に降り立つ瞬間、現場の空気が変わりました。ただの広い空間だった場所に「重心」が生まれ、庭としての物語が始まったのです。
3. 石との対話:鳥海石が刻むリズム
モミジの足元を固めるのは、秋田県鳥海山から運ばれた銘石「鳥海石」。ゴツゴツとした荒々しい表情と、苔むしたような静寂を併せ持つ石です。これを無造作に見えるように、しかし計算し尽くして配置していきます。
「石の顔を見ろ」。石には一番美しく見える角度があります。重機と手作業を駆使し、石と対話しながら、一つ一つ据えていきます。同時にアオハダなどの雑木を植栽し、石の「剛」と木の「柔」を融合させていきます。
4. アプローチ・階段:鉄平石が導く重厚な道
エントランスには、大判の「鉄平石」を使用。薄っぺらなタイル張りでは、この建物の迫力に負けてしまいます。厚みのある自然石を贅沢に使い、大地から生えてきたような重厚な階段アプローチを構築します。
仮置きしては離れて眺め、微調整を繰り返す。妥協なき配置が決まったら、モルタルでガッチリと固定。何十年経ってもびくともしない、最強の動線が完成しました。
5. 仕上げ:細部に宿る神と、緑の絨毯
門柱には、時を経るごとに味わいを増す「ハードウッド枕木」を採用。無機質なアルミ製品では出せない温もりをプラスします。石と石の隙間には下草を植え込み、硬い印象を和らげるクッションの役割を持たせました。
最後に高麗芝を隙間なく張り巡らせます。今は茶色い地面も、春になれば鮮やかな緑の絨毯へと変わります。たっぷりと目土をかけ、根の定着を促して全ての工程が完了しました。
完 成:木陰と芝生が調和する庭
春の新緑、秋の紅葉。
季節の移ろいを全身で感じられる、奥行きのある庭が完成しました。
H様、長期間にわたる工事をお任せいただき、本当にありがとうございました!
春には新緑が芽吹き、さらに美しい景色を見せてくれるはずです。
