本鞍馬石と鳥海石が織りなす「和の庭」。
素材の品格が宿る、静謐な空間
モダンな和風建築に、本物の石を添える
太田市のM様邸。モダンで洗練された和の佇まいを持つ邸宅です。内装へのこだわり同様、お庭にも本物の質感を求められました。
「本鞍馬石(ほんくらまいし)」という、庭師ならば誰もが憧れる希少な銘石を主役に抜擢。鳥海石や鉄平石、御影石と組み合わせ、重厚でありながらも四季の移ろいを繊細に映し出す、格調高い和の庭への全行程を綴ります。
1. 基礎・境界:後の「お化粧」を見据えた下地
まずは駐車スペースのすき取りと、境界ブロックの基礎工事から。お隣との境界を守りつつ、強固なベースを築きます。ブロック積みは単なる仕切りではなく、後の左官仕上げを見越して段差を設けるなど、細部まで計算しています。
緩やかな勾配の地形に合わせ、ブロック塀に段差を設けてリズムを付けました。この一手間が、最終的な仕上がりの美しさを左右します。
2. 動線づくり:鳥海石の沓脱石と御影石アプローチ
和室前には、雰囲気たっぷりの鳥海石を沓脱石として設置。そこから繋がるアプローチには、変化を加えた御影石を敷設。M様邸の顔となる門周りの骨格が見えてきました。
3. 本鞍馬石アプローチ:庭の格を決める「主役」
今回の主役、本鞍馬石の登場です。階段作りにも使えるほどの厚みがある贅沢な石を、飛び石として惜しげもなく使用。濡れた時の美しさは格別で、まさに「ヨダレ物」の逸品です。
石単体でも美しいですが、後に敷かれる「サビ砂利」とのコントラストで、その魅力は120%引き出されます。茶褐色の深い色合いが、庭に落ち着きを与えます。
4. 駐車場・鉄平石:大判石材と土間コンクリート
アプローチ兼駐車スペースには、大判の鉄平石を大胆に使用。何度も組み替えてベストな表情を探り、生コンを流し込んで固定。周囲には細かい鉄平石を張り巡らせ、階段も同じ素材で統一しました。
5. 左官仕上げ・植栽:庭に彩りと化粧を施す
ブロック塀には左官職人による丁寧な下塗りと塗装を施し、無機質な表情を一新。赤松、黒松、北山杉といった和の樹木を植栽し、庭に命を吹き込みます。
石組みと同時に植栽を進めることで、庭に奥行きと立体感が生まれます。株立ちの素晴らしいヤマボウシなど、選び抜いた樹木たちが庭の主役となっていきます。
6. 竹垣・石組み・仕上げ:細部まで宿る和の心
タカショーのエバーバンブー「吉野杉」や「御簾垣」で目隠しを整え、さらに大量の鳥海石で景を組みます。和室前には北海道旭川の銘石「神居古潭石(カムイコタンセキ)」の手水鉢を据え、水音の演出も忘れずに。
防草シートを敷き込み、最後に御影石のサビ砂利を投入。水を撒いて洗い流すと、石本来の色が鮮やかに浮かび上がり、庭全体がしっとりとした和の空気に包まれます。
7. 照明・駐車場:夜景と実用性の完成
夜の演出として、タカショーの「ほのあかり」シリーズを設置。料亭のような雰囲気を醸し出します。最後に駐車場の土間コンクリートをハケ引き仕上げで施工し、全ての工事が完了しました。
完 成:品格と静寂に包まれた和の庭
まるで料亭のような幽玄な世界が広がります。
本物の素材と職人の技が結晶した、誇れる庭の完成です。
M様、共に創り上げる喜びを感じさせていただき、本当にありがとうございました!
四季折々の変化を、この庭で末永くお楽しみください。
